スポーツをできる幸せ、スポーツでつくる幸せ

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リオ・オリンピックでは、これまでで最高の41個のメダルを日本選手たちが獲得した。次の東京オリンピック・パラリンピックに向けての重要な道標であり、とても良い形のジャンプ台となった。長期的な展望がスポーツ界の人材育成にも目に見える良い効果をもたらすことの証明だろう。

Sport for Tomorrowは東京オリンピックまでに日本のスポーツにおける国際貢献を増やし、100カ国1千万人に対して実施しよう、というプログラムである。日本がオリンピックを東京に招致する際に表明した公約の一つである。青年海外協力隊、草の根無償援助、身障者リハビリセンター支援、企業による社会貢献型支援、スポーツNPO支援など官民財を通じて盛り上げようとしている。しかしこうした国際貢献の効果は、簡単に測定できるものではない。長期的なスポーツの発展とそのスポーツの社会経済文化への貢献度の極大化が求められている。国際的には、国連が、平和と開発のためにスポーツを活用しようというキャンペーンを行っている。

リオ・オリンピックでは史上初めての難民選手団が結成されて、10人の選手が参加した。国籍を問わず、ブラジルや世界中の市民の注目と声援を受けた。オリンピックの参加組織は国家に限定されていない。そのユニークな伝統を活かしたIOCの英断である。オリンピックに向けてこうした国や施設のない子供やアスリートに対するサポートを実施することは、一つの重要な支援分野となるだろう。これは難民の若者に夢と機会を与えるとともに、難民の置かれた環境を世界の人々に知らしめる絶好の機会ともなっている。難民の彼ら彼女らにとっては、スポーツができる幸せを痛感するオリンピック参加となった。その一方で、難民選手団の活躍を見ている側の私達にとっても、スポーツによる幸せづくりの可能性を見出す新たな契機となった。

オリンピックの招致合戦から、東京都都知事選、東京オリンピック・パラリンピックに向けての景気の底上げなど、スポーツの経済効果、政治への影響度についてはよく知られている。そのスポーツの社会・経済・政治・文化への貢献能力をフルに活性化させようとする動きが、Sport for Peace and Developmentであろう。人間中心の開発(Human Development)という観点から見ると、スポーツを通じた心技体のバランスのとれた発達と人格の形成を図るということが重要となる。

日本のスポーツ基本法(平成23年施行)はその第2条で、「スポーツはこれを通じて幸福で豊かな生活を営むことが人々の権利である(以下省略)」と謳っている。スポーツができる権利はもとより、スポーツをつうじて幸福な生活を営む権利を認めている。スポーツをする機会を与えるだけでなく、そのスポーツを通じて如何に恵まれない子どもたちや地域の幸せづくりに貢献できるのかという視点が、スポーツによる国際・国内協力にも求められているということだろう。

 

 

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