脱炭素技術海外展開イニシアティブ/Climate Solutions Technologies Initiatives
外務省の国際協力局の中に、気候変動課がある。地球温暖化の問題の解決に国際協力を通じて貢献しようということで、とても大切で自然なことだと思う。私も国連時代には、地球規模課題の審議官の方とお会いしたことがあった。今回、この脱炭素技術海外展開イニシアティブを始めるにあたって、私に声がかかったのは去年のことである。パキスタンの国連開発計画(UNDP)の事務所長を務めていた2010年に、パキスタンの国土の三分の一が浸水するという大洪水が起こった。日本の資金援助をいただいて、多数の現地の環境・人道支援NGOと協力して洪水からの復興プロジェクトを計画・実施した。そのときに、支援を担当しておられた外務省・パキスタン大使館の方々が、私のことを覚えていてくれて、このイニシアティブの外部審査委員会を立ち上げるとのことで、委員に就任してもらえないかとのオファーをいただいた。
この第一回の審査委員会が、先週Zoomミーティングで、開催された。その結果を受けて、以下の当イニシアティブの日本企業への募集が始められている。この内容について関心のある方は、下記の外務省のウェブサイトにアクセスしてください。氷河湖の決壊防止、太陽光発電、バイオマス、小規模水力発電、地熱発電、太陽光発電の街灯の設置による女性や子供の安全保護など、私も温暖化対策に関わるプロジェクトの経験はあるが、日本企業とのコラボの経験はなかった。日本企業もSDGS(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会貢献・ガバナンス)投資などと本格的に取り組み始めている今、どのようなNGOとのコラボが生まれるのか、とても楽しみにしている。
外務省: 脱炭素技術海外展開イニシアティブ(日本企業の脱炭素製品の募集開始)
国連パキスタンの環境プログラム
2009~12年にかけて、国連パキスタンの環境・防災・貧困削減プログラムなどの共同議長を務めた。環境に関しては、1.ガバナンス、2.水と保健・衛生、3.自然環境の保護、4.持続可能な都市化、5.ごみ処理・グリーン産業の促進、という5分野で様々なプロジェクトを実施している。当時は、SDGsの前のMDGsの達成が国際的な目標となっていた。パキスタンは生物の多様性豊かな国である。北部のギルギット・バルチスタンを訪ねたときに見た、ナンガーパルバット(8,125m)は, Killer Mountainと呼ばれ、最も多くの登山家の命が消えた山である。威風堂々とした雪に覆われた神聖かつ荘厳な姿。この名前の由来はサンスクリット語で「裸の山」という意味である。自然環境・森林の保護と水力発電・観光との共存が課題の一つだった。南部のシンド州のインダス河の下流ではマングローブ植林、洪水対策などのプロジェクトを実施している。




