月別: 8月 2016

ジュニアスポーツ、アジア交流大会

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東京都がアジアの青少年のスポーツ交流を通じた相互理解を深めようとこの10年ほど交流大会を実施している。バトミントンと柔道で始まったこのプログラムは、3年前からバトミントンと卓球種目で実施されている。国レベルではなく、東京という都市とアジアの都市を結ぶという地域性を持ち、東京オリンピック・パラリンピックが決まる以前から始まったプログラムということで2020年以降も継続されることが期待される。

参加都市は、シンガポール、台北、トムスク(ロシア)、ウランバートル、ヤンゴン、バンコク、デリ、ハノイ、香港、ジャカルタ、クアラルンプール、マニラ、ソウルなど各国の首都がリストアップされている。

東日本大震災で被災した福島、宮城、岩手県からの青少年も招待されている。そして東京2チームと茨城県チームがホーム代表である。アジアの各都市の16歳未満の少年少女を迎えて8月23日から29日までスポーツを通じた交流を楽しむことになる。

車いすや義足つけた障害者アスリートも多数参加していた。片腕が肩から全く無い少女や、知的障害とみられる少年も顔をくしゃくしゃにしながらボールをひたすら追い続けていた。

近藤欽二氏の指導者研修は、映像を使った効果的なものだった。すべて日本語である。これをアジア各都市からやってきたコーチ一人に対し、一人の通訳がついて解説する。

田中さんというスポーツプロモーションという会社の方が、通訳はみんなその国出身で日本語が堪能な人たちを集めたと説明してくれた。最近は各国から日本に来て仕事や勉強、あるいは家庭をもって長期滞在している人が増えている。人材派遣会社もそこに目をつけて、正式な通訳として活用しているとのこと。この会社は90%以上サッカーをあつかっているそうだ。J-リーグは、J-リーグの試合をインターネット上で配信する10年契約をUKの会社と結んだ。その額は2千億円であるが、実際にどれだけ有償でネットでサッカーの試合をみてくれるかによって採算が取れるかどうかが左右されるそうだ。現在有償でネットで試合を見ている人は日本に22万人だそうだ。これを多いと見るか、少ないと見るか。まだ利益を出すために十分な市場規模とはいえない。心配はお金があってもなくても尽きぬもののようだ。

早速ミャンマーのコーチらしき人に声をかけた。実は保健・スポーツ省の役人で、卓球関係者ではなかった。いつもは首都ネーピドーにいるのだそうだ。ミャンマーのすべてのスポーツ連盟はいまだに旧都のヤンゴンで活動している。もう一人の引率者とも話してみた。彼はやはり保健・スポーツ省の役人で、本人は他の競技の関係者だそうだ。都市と都市を結ぶための自治体が主役のイベントのはずである。しかし国家政府がその仲介にはいり、かつ決定権を持つことも多い。これには二つの理由が考えられる。一つはスポーツ団体の内部構造である。日本でもそうであるが、スポーツ団体は強固なヒエラルキーを持つことが多く、国家レベルと地方とではその上下関係は明確である。国のスポーツ協会・連盟の協力なしで一都市や一地域のスポーツ組織がスポーツの国際大会を開催することは考えられない。ふたつ目の理由は、スポーツ連盟と政府との関係である。大半のスポーツ連盟は財政基盤がなく、その運営費用のほとんどを政府に頼っている。そのため政府が決めたことに反対や意見するような力関係にない。とはいえ、卓球コーチや卓球協会関係者以外の政府の役人が引率者として参加しているのは珍しいことで、例外的なことだ。スポーツ連盟の海外遠征の機会を、その目的は度外視して、政府官吏にまで対象を広げ、受益を分配しようというミャンマー独特の平等感覚と中央集権的性格のあらわれなのだろう。

ヒジャブ(ムスリムの女性が髪に被す布)をつけてパワフルなドライブを売っている女子選手が目をひいた。リオオリンピックのビーチバレーでは、肌を見せずヒジャブをつけたチームとビキニのチームの試合があり論争をよんだようだ。スポーツは誰のものでもない、国境、宗教、言語、人種や民族、障害を越えたみんなのものである。世界に貧困、格差や紛争があるように、スポーツをする機会は地球上に住む人々に平等に与えられているとはいえない。しかし、公正で差別を引き起こすことのないルールや環境をつくることによって、誰も置き去りにしない、ことが21世紀のスポーツの創造と社会的発展につながると信じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スポーツをできる幸せ、スポーツでつくる幸せ

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リオ・オリンピックでは、これまでで最高の41個のメダルを日本選手たちが獲得した。次の東京オリンピック・パラリンピックに向けての重要な道標であり、とても良い形のジャンプ台となった。長期的な展望がスポーツ界の人材育成にも目に見える良い効果をもたらすことの証明だろう。

Sport for Tomorrowは東京オリンピックまでに日本のスポーツにおける国際貢献を増やし、100カ国1千万人に対して実施しよう、というプログラムである。日本がオリンピックを東京に招致する際に表明した公約の一つである。青年海外協力隊、草の根無償援助、身障者リハビリセンター支援、企業による社会貢献型支援、スポーツNPO支援など官民財を通じて盛り上げようとしている。しかしこうした国際貢献の効果は、簡単に測定できるものではない。長期的なスポーツの発展とそのスポーツの社会経済文化への貢献度の極大化が求められている。国際的には、国連が、平和と開発のためにスポーツを活用しようというキャンペーンを行っている。

リオ・オリンピックでは史上初めての難民選手団が結成されて、10人の選手が参加した。国籍を問わず、ブラジルや世界中の市民の注目と声援を受けた。オリンピックの参加組織は国家に限定されていない。そのユニークな伝統を活かしたIOCの英断である。オリンピックに向けてこうした国や施設のない子供やアスリートに対するサポートを実施することは、一つの重要な支援分野となるだろう。これは難民の若者に夢と機会を与えるとともに、難民の置かれた環境を世界の人々に知らしめる絶好の機会ともなっている。難民の彼ら彼女らにとっては、スポーツができる幸せを痛感するオリンピック参加となった。その一方で、難民選手団の活躍を見ている側の私達にとっても、スポーツによる幸せづくりの可能性を見出す新たな契機となった。

オリンピックの招致合戦から、東京都都知事選、東京オリンピック・パラリンピックに向けての景気の底上げなど、スポーツの経済効果、政治への影響度についてはよく知られている。そのスポーツの社会・経済・政治・文化への貢献能力をフルに活性化させようとする動きが、Sport for Peace and Developmentであろう。人間中心の開発(Human Development)という観点から見ると、スポーツを通じた心技体のバランスのとれた発達と人格の形成を図るということが重要となる。

日本のスポーツ基本法(平成23年施行)はその第2条で、「スポーツはこれを通じて幸福で豊かな生活を営むことが人々の権利である(以下省略)」と謳っている。スポーツができる権利はもとより、スポーツをつうじて幸福な生活を営む権利を認めている。スポーツをする機会を与えるだけでなく、そのスポーツを通じて如何に恵まれない子どもたちや地域の幸せづくりに貢献できるのかという視点が、スポーツによる国際・国内協力にも求められているということだろう。

 

 

Sport for Happiness

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Sport for Happiness

1983年から2年半、青年海外協力隊の卓球隊員として、ペルーのナショナルチームのコーチングや学校・地方での普及活動を行った。その後、シチズン時計の卓球部で実業団を経験。1988-1990年はドミニカ共和国で青年海外協力隊の調整員をする傍ら、現地の卓球連盟の活動を支援する。1994-1999年には国連に勤務しながら、ミャンマーの卓球連盟のナショナルチームのトレーニングパートナーをつとめ、機材供与を行う。2004-2008年には、ブータン王国で卓球連盟のコーチ兼アドバイザーとして、ナショナルチームの育成に尽力する。その後も、ミャンマー、フィリピン、ブータンに対する機材供与などのサポートを行ってきた。

Sport for Happinessは、恵まれない子供たちに対して、体系的かつ長期的なスポーツ支援を実施して、質高いアスリートを育成するためのプログラムである。アスリートとしての能力の向上を通じて、恵まれない境遇にある子どもたちに自信と希望を取り戻し、彼ら・彼女らの幸せづくりに寄与することを目的とする。社会的貢献としては、社会階層、民族、出自などによる格差や差別の解消とスポーツ振興に必要な環境づくりに寄与する。

 Background

Sport has been a driver of physical, mental and social development of a person.

Today, sport is recognized as having a significant potential to serve as an effective means to create an unity, peace and happiness in the human society.

There is a growing consensus that having an access to practice sport is a human right and it is for:

  • entire life-cycle of a person: from a baby to an elderly;
  • abled and differently abled; and
  • every individual regardless of their origin, age, sex and belief.

Mission

Sport for Happiness is established with the aim to support disadvantaged children including orphans, displaced, poor, minorities, differently abled,  in the advancement of their human development through providing an access to practice sports.

Goals

Sport for Happiness intends to help disadvantaged children achieve the following goals by providing an access to practice sports.

  1. To enjoy sports, physically, mentally and technically;
  2. To develop skills and self-confidence to compete at a higher level, national and international; and
  3. To develop life-skills and personality that enable them to explore their life with dignity, respect and happiness.

Areas of works

  • Collection and provision of used materials and tools for playing sports.
  • Provision of organized practice and coaching.
  • Support technical training of coaches and selected players.
  • Organization of tournaments and exchange, nationally and internationally.
  • Advocacy and networking with relevant national institutions and media.
  • Reaching-out companies and supporters that provide voluntary and financial support.

Achievements

  • Donation of table-tennis materials to the Philippine (2014), Myanmar (1990’s, 2009, 2016) and Bhutan Table-Tennis Federations (2004-2008, 2016).
  • Provision of coaching to the national table tennis teams of Bhutan (2004-2008)

Planned activities

  • Nov. 12-20, 2016: Organization of a table-tennis tournament in commemoration of 30th Anniversary of diplomatic relations between Bhutan and Japan in Thimphu,Puntseling and Paro.DSCF3606