早田・張本ペアの一回戦敗退に見る新たなダブルスの世界への潮流

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あまり情報は多くないが、今回、混合ダブルスにおいて、早田・張本ペアが、北朝鮮のペアに敗れた試合は、前回の釜山で開催された世界選手権大会で、団体戦で中国がインドに2敗した試合と重なる。世界ナンバーワンの孫穎莎が、フォア表ソフト・バックアンチのA.ムケルジに敗れたのは特に衝撃的だった。王芸迪がフォア裏・バック粒高のアクラの粒高ショートに合わずに敗れ、中国をラスト勝負にまで追い込んだ。

開幕戦で、最初の試合だったことも状況が酷似している。相手はどんな卓球をするのか、予測もつかず、準備をできないままで試合に臨んだ時点で、かなりの不利な状況におかれていた。予測できていて、準備ができていれば勝てたかと言うと、おそらく、一週間もあれば、6割程度の確率で勝てたのではないか。それでも6割。世界2位のペアが敗れる確率は、まだかなり残されていたと思われる。

このような異質なラバーとの対決は、とにかく初対面では、よほどの実力差がない限り、敗れる可能性が高い。異質ラバーの選手は、攻撃力に粗さがあることが多い。異質のボールはボールが伸びず遠くまで飛ばないので、前陣でスマッシュやカウンター狙いの、ややギャンブル的な攻撃になるからである。相手の異質のボールに少しづつなれてくると、攻撃ミスを誘う粘りのプレーができるようになり、実力差があれば、接戦でも勝ち抜くことが可能になる。

自分が、カットとか守備型の選手なら、ラバーの影響を受ける確率は相当に少なくなる。下回転系のボールで返球することでミスを減らして、相手に攻撃させてからの勝負ができるからだ。そもそも守備型の選手には、異質ラバーを使う選手が多くいる。現代の卓球の潮流は、前陣攻守型の異質ラバーを使う選手が増えつつあることだ。

今後の潮流としては、ダブルスの世界が、相当に変わっていく可能性がある。前回のオリンピックで、伊藤・水谷ペアが金メダルを取ったことが、いまだに大きな話題になっている。今までは、少なくとも世界選手権では、団体とシングルスのメダルと、ダブルスのメダルでは、明らかに格差があった。世界チャンピオンといったときに、卓球ではダブルスのペアの名前を持ち出す人はいなかった。しかし、オリンピックにおいては、ダブルスの金メダルの価値が、シングルスや団体と限りなく同等、いや、おそらくまったくの同等なものとして扱われる。オリンピックを目指すことを最上位において、ダブルスに特化する選手やペアが日本や欧州でも、いや世界中で生まれてくる可能性がある。特に左の女子の異質ラバー選手は、混合ダブルスでも女子ダブルスでも、もっとも貴重な戦力になるだろう。ダブルスだと、攻撃をパートナーに任せることができるので、攻守の変化とバランスと安定感が格段に増すのである。

シングルスで強い者同士ではなく、ダブルスでもっとも相乗効果の高い、相手を翻弄できる、計算された二人の組み合わせを追求する時代に入ってきた。そういう潮流を感じさせられる試合だったと思う。

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