創部100周年、メモラブルな早稲田大学卓球部の秋季関東学生リーグ 優勝!!(2)

投稿日: 更新日:

 9月24日、最終戦。昨日の試合で、早稲田大学は男女ともに敗れ、4勝2敗となった。久しぶりのリーグ戦の応援で、優勝のかかる試合を朝から夕方まで観戦し続けた自分だったが、女子はストレートで、男子は3-1からの大逆転負けを喫したとあっては、自分がこのリーグ戦における母校の運気に貢献するどころかその逆だったのではないかという杞憂もおきる。こうした戦いの運勢というものは、絶妙かつ不可思議なバランスがあって、常にいいものでも、いつまでも悪いものでもない。スウェーデンから帰国したばかりの翌日の試合で、獅子奮迅の活躍をみせて気を吐いた濱田(一)選手。体調をくずして病み上がりでのぞんでいた徳田選手。関東学生のトップクラスの大学チームのレギュラー選手同志の実力差はわずかであり、団体戦では勢いに乗った選手が大当たりするものだ。その技術力と体力と気力のぶつかりあいは、ボールのスピードと回転とともに、ジェットコースターのようにめまぐるしいラリーの応酬となり、息が詰まる。昨日の悔しい敗戦のあったあとの最終戦。4勝2敗の4校の中では、勝率でまさる早稲田大学は、中央大学との対戦に勝てば、もっとも優勝に近い位置にいた。選手層のうすい早大は、濱田兄弟と徳田選手で4勝をあげることが必須で、あとの3シングルスの勝率は低い。

 その大事な濱田弟と相手のエース対決は、こちらがかなり不利にみえたにもかかわらず、サーブからの速攻とレシーブからのカウンターというトップスピン隆盛の現代卓球とは異質なプレーをする濱田弟が見事に3-0で勝ちきった。早稲田の勝利への扉が開かれた瞬間である。二番手の濱田兄は絶対的な信頼と実力を有する早大のエース。相手選手がものすごく元気でとにかく中陣からフォアでもバックでもパワフルなドライブを何発でも打ってくる。濱田選手は合わせる打ち方となり、粘られたボールに対して決定打が打てない。動きに自信と鋭さが伴わないまま、押し切られてしまう。次の桜井選手もゲームオールで惜敗。1-2というむずかしい出足となる。ダブルスは絶対に勝利が求められた。2-0と楽勝ペースと思われたが、3・4ゲームは相手ペースで奪還されラストゲーム勝負。これも6-9とリードされ、万事休すと思われた。ここで濱田・徳田ペアが驚異の粘りをみせ9-9。相手が払うようなツッツキをオーバーミス。10-9。最後の渾身の攻撃で5本連取の大逆転勝ちで、二人とも床に倒れ込んで勝利を噛みしめた。シングルスで敗れただけに、この試合に賭ける濱田兄の気持ちの伝わるゲームだった。卓球の勝負は精神的な領域で争われることが多い。微妙な気持ちの動きが運気の波を生んで、勝敗のサイコロの目を変えていく。

 2-2のタイ。私は、きょうは徳田選手は絶対に勝利する運気にあると信じていた。昨日の敗戦で沈んだ大きな運気の塊が水面を突き破って空間へ飛び出してくると思われた。それで徳田選手を応援。昨日よりも動きもよく、フォアハンドも振れていた。徳田選手の勝利は順当であり不可欠なものだった。早大にとっては残り二試合でひとつ勝つのは遠い道のりだった。磯村選手が敗れ、これが最後のリーグ戦となるキャプテン荒井選手も1ゲーム目4-8の劣勢。ここから挽回勝ちという団体戦ならではの熱気と勢いを得たキャプテン荒井が、3球目攻撃とストップという両極端な戦法をみせて、相手の読みをはずしだした。レシーブが単調になり、焦りのみえる相手選手に対して、サーブが効いている荒井選手が常にリードを保って、マッチポイントを握る。応援団も優勝の瞬間を待ちわびて、座席から腰が浮いたまま、一本一本を息をのんで見つめ、ついに来た優勝の瞬間は会場中の空気が割れ、悦ぶ学生たちの歓喜の波がコート中にあふれでた。

 創部100周年の奇跡的な優勝の瞬間だった。

 

 たかがスポーツ、されどスポーツ。

 たかが人生、されど人生。

 100周年、集まり散じて、人は変われど。感動は変わらず、心に伝わるものだ。

 学生たちに、若き汗と涙と情熱に感謝。ありがとうございます。

コメントを残す