開発
オリンピズムと人間の進歩
- クーベルタンの理想とトインビーの人類史観
「近代オリンピックの父」といわれるピエール・ド・クーベルタンは、フランスの敗戦の沈滞から立ち上がるべく教育改革を目指す青年だった。イギリスのパブリックスクールにおけるスポーツの役割に感銘を受けたクーベルタンは、スポーツ教育の理想の形として「古代オリンピックの復活」を唱えるようになり、1894年に国際オリンピック委員会(IOC)を創設し、1896年に第一回アテネ大会を開催するにいたる[i]。
クーベルタンがオリンピックを再興しようとした根本動機は「スポーツを通じて人間を変革すること」にあり、それは単なる「スポーツの祭典」ではなく、精神の発達を願う芸術や文化を融合したものだった[ii]。オリンピズムはそのようなクーベルタンの考えを反映するものであり、その根本原則として以下のようなことを挙げている。(オリンピック憲章より抜粋)
1.オリンピズムは肉体と意志と精神のすべての資質を高め、バランスよく結合させる生き方の哲学である。オリンピズムはスポーツを文化、教育と融合させ、生き方の創造を探求するものである。その生き方は努力する喜び、 良い模範であることの教育的価値、社会的な責任、さらに普遍的で根本的な倫理規範の尊重を基盤とする。
2. オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てることである
さて、英国の歴史家トインビー(1948)は、人類が誕生してから「何らかの肉体的あるいは精神的進歩があったと想像すべきいかなる保証もない」とその著書で述べている。彼によると「人間は非人間的自然を処理すること」は得意であるが、自分自身を含む「人間の内部にある人間的自然を処理する」ことには不得意だという。そのため、人類誕生以来現代にいたるまで「非人間的世界」における顕著な進歩と、人間の内部の「精神的世界」における未成長または非進歩という、トインビーのいうところの著しい不釣り合いによる「この地上における人間生活の一大悲劇」が進行中であり、地球温暖化や紛争や貧困は、その人間の業ともいうべき「悲劇」の産物と考えられる。
クーベルタンが理想としたように、はたしてスポーツは、「人間の内部にある人間的自然」のコントロール能力を発達させ、この人間の精神的世界における停滞を打破することに貢献することができるのだろうか。
[i] JOC – オリンピズム | クーベルタンとオリンピズム(https://www.joc.or.jp › olympism › Coubertin) アクセス2022年1月25日
[ii] オリンピック基礎知識|オリンピックスポーツ文化研究所 (nittai.ac.jp) アクセス 2022年1月20日
Toyinbee, Arnold J. (1948). Civilization on Trial. (アーノルド. J. トインビー. 深瀬基寛(訳) (1966). 「試練に立つ文明」 社会思想社)
Bhutan, Lunana, A Yak in the Classroomn (ブータン 山の教室)
Today, I watched the movie from Bhutan “Lunana, A Yak in the classroom”
I lived in Bhuan for 4 years during 2004-2008 serving in the United Nations Development Programme. I did visit a various corners of mountainous terrains of Bhutan in a Toyota land-cruiser plus on my foot as most project villages are located at hours of walk from the jeepable roadside. At Lunana village, we have got an important project ““Reducing climate change induced risks and vulnerabilities from glacial lake outburst floods (GLOF)”. But, I could never visit Lunana as it was by far remotest area of Bhutan where we need to climb snow-capped mountains and walk more than a week to reach. Today, I finally saw the harsh but beautiful natural landscapes of Lunana and its people. The song and dance they enjoy with the breathtaking nature, green, white and blue, at the background sounds very familiar and my eyes were flooded with water coming out of my heart.
When I listened and learned the meaning of the song that a Yak herding lady sings to devote to all beings and souls around their world selflessly, I was struggling not to disturb others by my sobbing. It was a story of Yak and a Yak herder. Without Yak, the villagers at highland cannot survive. Sometime, they need the meat of a Yak. They gather all Yaks of village and throw a hat. A hat fall on a Yak whose life and body will be sacrificed for the whole villagers. The song was written by a herder whose Yak was sacrificed, and he sings for the soul of Yak who is probably reincarnation of someone and will be reincarnated again in the Himalaya. Therefore, the Yak in the classroom demonstrates a symbiotic relation between the nature and the human-being as well as between the real world and the spiritual world.
I think the most eye-opening parts of the movie are those with a little cute girl, Pema Zam. Her eyes are shining black, curiously-open, and eloquently storytelling. She is a symbol of love, both human and natural. Her pure and fragile heart is just like our beautiful planet in face of the climate change due to the greedy human activities.
The movie gave me an impulse TO ACT.
The village elder says, “a teacher (knowledge) can touch the future”.
Our responsibility as adults and fortunately educated is to let the children touch the future.
And we should “leave no one behind”.
The movie has brought me an idea of a new project for Lunana and Bhutan to create a network of online library that reaches the children in the remotest areas. Probably, we need a hundreds of set comprising solar panels, smart phones or tablets, an internet connection or if otherwise, a CD/memory tips of hundreds of selected books. It is doable at this era of the IT development including developing countries.
Then, I wish to visit Lunana and meet Pema Zam and every children.
小野千代さんからのBigプレゼント
日本卓球界でも有名な小野千代さんからデッカイダンボール箱が送られてきました。小野千代さんとは、知的パラ卓球の日本選手団の引率でいくつかの国際大会でご一緒して、ご指導いただきました。時折、スパークリングをお願いして、思いっきり前後左右にふられまくっています。
相当大きなダンボール箱は、33Kgもあって、抱えて移動するのも大変。中を開けると、ムチャクチャたくさんの卓球用具が入っていました。これだけのものだと、メルカリで売ったら、かなりの額になりそうです。
一人でこれだけの寄付をいただいたのは前例のないことです。本当に感謝しかありません。さすがにトップの選手・コーチになると半端ない量と質の卓球用具を使いこなしてきた半生の重みを感じさせます。これまで表ソフトのラバーは中古でもなかなか手に入らなかったので、助かります。前陣速攻の小野千代さんだからか、ユニフォームは私も好きな軽めのものが多いようでした。女性用の服は、サイズが小さめで、子どもたちはユニセックスで使えるのでちょうどいいですね。スカートタイプも最近ではトップ女性選手のあいだで着用されていますし、ラテンアメリカとかでは特によろこばれそうですね。小野千代さん、本当にありがとうございます。早い機会にペルー、ブータン、ミャンマーの子供たち、選手たちに配布する予定です。コロナが終息すれば、私自身で持っていきますが、郵送も考えています。小野千代さん、みなさん、これらの用具を使っている子供たちに一緒にコーチングに行きましょうね。




寄付の内訳は、下記のとおりです。
| ユニフォーム(上) | Used | 52 | 表ソフトラバー | New | 49 | |
| ユニフォーム(上) | New | 13 | 表ソフトラバー | Used | 2 | |
| ショートパンツ | Used | 22 | 裏ソフトラバー | New | 22 | |
| ショートパンツ | New | 1 | ||||
| スカート | Used | 9 | ソックス | New | 5 | |
| T-シャツ | Used | 23 | アームウォーマー | New | 2 | |
| T-シャツ | New | 3 | リストバンド | New | 4 | |
| ジャージ (上下) | Used | 1 | タオル(大) | New | 1 | |
| ジャージ (上下) | New | 1 | タオル(小) | New | 1 | |
| ジャージ (ズボン) | Used | 3 | タオル(中) | Used | 1 | |
| ジャージ (ズボン) | New | 2 | 保温ボトル | New | 1 | |
| フード付きトレーナー | Used | 1 | キィホルダー | New | 1 | |
| パンツ(膝丈) | Used | 1 | 卓球ボール | New | 6 | |
| セーター | Used | 1 |
大坂なおみ(Naomi)さんを応援しよう
最近ヤンゴン日本人学校でパラリンピックについてゲスト講義をする機会があった。そのときに私が尊敬する人物について、ガンジーさんやネルソン・マンデラさんとともに、スポーツ界を変えるアスリートとして大坂なおみ(Naomi)さんについて話した(下の写真)。彼女はBlack Life matters運動を率先して行い、大会の組織委員会の妥協ばかりか、アメリカスポーツ界の政治的行為の排斥原則を変える歴史的な転換をもたらした。
今回、French OpenにおけるNaomiさんのインタビューの拒否は、単なる個人的な問題としてしか捉えられていなかったようだ。Naomiさんも、おそらく、彼女自身の個人の権利に関するものと考えていたと思う。ナダルさんや錦織さん、多数のテニス界のスター選手がコメントを求められ、
(1) Naomiさんの決断をリスペクト(尊重)する。
(2) インタビューは仕事である。
という二つのことを述べていた。その根幹には、
今のテニス界の発展=商業価値はメディアに頼るところが大きい。
というアスリート側の現状認識があるようだ。
New York Timesによると、Naomiさんのインタビュー拒否に対して、全仏の運営者側は、
Naomiさんに、罰金1万5千ドルを課し、これ以上、拒否するなら、罰則として全仏からの不戦敗もありうる、と警告を行っている。
そして、この過剰なまでに強い警告の宣告文(ステートメント)には、フランステニス協会会長、米国テニス協会会長、オーストラリアテニス会頭、全イングランドクラブ会長(ウィンブルドンを運営)の署名があったそうだ。
つまり、テニス界の頂点を決める四大大会(グランドスラム)のトップ全員が、インタビューを拒否する選手は、四大大会から排斥すると、このあまりにも早い時点で警告を行ったのである。インタビューを拒否するNaomiさんの行動は、テニス界を根底から揺るがす許すまじき行為であり、テニス界で生きていきたくば、このような真似をしてはならないという、テニスプレーヤー全員に対する警告のつもりだったのだろう。
あまりにも明確なことは、テニス界を運営する人たちは、テニスをビジネスにしており、選手はメディアや観衆を楽しませるための商品と見なされているということである。ビジネスファーストであり、セカンドもサードもビジネス、ビジネスである。多くのプロ選手たちも、プロツアーで勝つことと、自分の商品価値を上げることを、ほぼ同義ととらえ、アスリートという名の個人事業主として、テニス界と向き合っているようだ。
Naomiさんは独特なスピード感をもって「全仏オープンからの自主的な棄権」という選択を発表した。鬱の症状に苦しんできた彼女の独白は、グランドスラムを四度も制するタフな精神力とスーパー身体能力を有する女性のイメージからは程遠い、痛々しいほどの苦しみと不安に満ちたものだった。
セレナ・ウィリアムズさんは、Naomiさんをハグしてあげたいと、記者会見で答えた。テニス界にも多様な人々がいて、それぞれにベストなやり方で、いろいろな局面に対応している。それでいいじゃないの。Naomiさんには、Naomiさんにベストな方法でガンバることを認めてあげるべきでしょう。Naomiさんのテニスの憧れの人、鬱のきっかけとなったUSオープンの決勝の対戦相手のセレナさんは、テニス界に黒人女性を認めさせたパイオニアでもある。セレナの言葉は、I have a dreamというキング牧師のスピーチのスピリットにも重なって響いた。
Mental health of an athlete matters
Naomiさんは、再び、プロスポーツの世界の常識に転換点を突きつけた。
Naomiさん、we all have heard the true voice of your heart. Please take your time, relax, refresh and recover. We all stand with you and hope to see your smile soonest.

ブータンのオリンピック・パラリンピック参加
ブータン卓球連盟のダラ・コーチからブータンのオリンピック参加についての便りがあった。
ブータンの伝統スポーツはダツェと称する弓術である。オリンピック競技でも、アーチェリーに力を入れており、東京オリンピックにおいても、ブータンはこのアーチェリー競技において参加資格を獲得している。また東京オリンピックには、初めてブータンから水泳の選手が参加するという。私がブータンに赴任していた2004年から2008年の4年間、水泳をしているブータン人を目にした事はなかった。首都ティンプーにはスィミングプールと呼ばれている場所が一つだけあったが、プールが実際に使用されているところを見たことはなかった。そのブータンから水泳の選手がオリンピックに参加するというのだから、これは絶対に応援しなくては。私たちがもはや忘れてしまった参加することに意義のあるオリンピックの原点を知ることになるかな。いや、そこでは必ずやブータン新記録が生まれ、そこからブータン競泳の新しい歴史が始まるに違いない。ブータンだけではなく、世界の幸福量を増やせるといいな。
ブータン・スポーツ界にとって、もっとも喜ばしいことは、ブータンの障がい者が、アスリートとして初めてパラリンピックに参加することである。参加競技はアーチェリーと砲丸投げだそうだ。パラリンピックの近代史は、英国のストークマンデビル病院でリハビリを目的として行われた車いすアーチェリーから始まった。ブータン・アーチェリーのオリンピックとパラリンピックにおける活躍を期待したい。パラ陸上の砲丸投げの選手の誕生も初耳であり、喜ばしい出来事だ。ブータンは人口が少なく、経済的な余裕もないため、国内で実施するスポーツ種目の数を限定する風潮があったのは過去の話となったようだ。ブータンスポーツ界が、パラだけではなく、その競技種目も多様化していることを歓迎したい。
ブータンでパラ・スポーツを振興することが、国連時代を過ぎ、林住時代における私の目標である。そのスタートとして、2016年12月に日本卓球協会の代表団とともに、日本・ブータン国交樹立30周年記念のファイナルイベントとして卓球交流セミナー・日ブ交歓卓球大会をブータンの首都ティンプーで実施した。パラ卓球の代表として、畠山講史郎日本パラ卓球協会会長と立石アルファ裕一選手がメンバーとして参加してくださった。日本卓球協会からは、渡辺武弘参事と松下雄二(男子U-12監督)という壮壮たる方々が当代表団のリーダーとして来られた。シチズン時計監督の伊藤誠氏と元早大キャプテンの矢野敬之氏は私の後輩でもあり、当計画のサポーターでもあった。ブータンオリンピック委員会においても、パラリンピック部門を新設したばかりのときであり、卓球交流・セミナーも障がいのある子供たちをインクルーシブして行い、それ以来、パラ卓球の歩みがブータンでも始められている。
We celebrated 30th Anniversary of Bhutan-Japan Diplomatic Relations through table tennis. Japanese delegation included Mr Takehiro Watanabe (chief), Yuji Matsushita, Sei Ito, Takayuki Yano, and Koushiro Hatakeyama (President of Para-JTTA) and Alfa Tateishi. All are great well-known players/coaches. I served as a guide and fixer. The real mission is to promote Sport for GNH. We visited BOC, GNH Commission, the UN and rural schools It was fun, memorable and beginning of new relationships among sport lovers beyond generations, physical abilities and borders. Seasons Greetings to you all!
脱炭素技術海外展開イニシアティブ/Climate Solutions Technologies Initiatives
外務省の国際協力局の中に、気候変動課がある。地球温暖化の問題の解決に国際協力を通じて貢献しようということで、とても大切で自然なことだと思う。私も国連時代には、地球規模課題の審議官の方とお会いしたことがあった。今回、この脱炭素技術海外展開イニシアティブを始めるにあたって、私に声がかかったのは去年のことである。パキスタンの国連開発計画(UNDP)の事務所長を務めていた2010年に、パキスタンの国土の三分の一が浸水するという大洪水が起こった。日本の資金援助をいただいて、多数の現地の環境・人道支援NGOと協力して洪水からの復興プロジェクトを計画・実施した。そのときに、支援を担当しておられた外務省・パキスタン大使館の方々が、私のことを覚えていてくれて、このイニシアティブの外部審査委員会を立ち上げるとのことで、委員に就任してもらえないかとのオファーをいただいた。
この第一回の審査委員会が、先週Zoomミーティングで、開催された。その結果を受けて、以下の当イニシアティブの日本企業への募集が始められている。この内容について関心のある方は、下記の外務省のウェブサイトにアクセスしてください。氷河湖の決壊防止、太陽光発電、バイオマス、小規模水力発電、地熱発電、太陽光発電の街灯の設置による女性や子供の安全保護など、私も温暖化対策に関わるプロジェクトの経験はあるが、日本企業とのコラボの経験はなかった。日本企業もSDGS(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会貢献・ガバナンス)投資などと本格的に取り組み始めている今、どのようなNGOとのコラボが生まれるのか、とても楽しみにしている。
外務省: 脱炭素技術海外展開イニシアティブ(日本企業の脱炭素製品の募集開始)
国連パキスタンの環境プログラム
2009~12年にかけて、国連パキスタンの環境・防災・貧困削減プログラムなどの共同議長を務めた。環境に関しては、1.ガバナンス、2.水と保健・衛生、3.自然環境の保護、4.持続可能な都市化、5.ごみ処理・グリーン産業の促進、という5分野で様々なプロジェクトを実施している。当時は、SDGsの前のMDGsの達成が国際的な目標となっていた。パキスタンは生物の多様性豊かな国である。北部のギルギット・バルチスタンを訪ねたときに見た、ナンガーパルバット(8,125m)は, Killer Mountainと呼ばれ、最も多くの登山家の命が消えた山である。威風堂々とした雪に覆われた神聖かつ荘厳な姿。この名前の由来はサンスクリット語で「裸の山」という意味である。自然環境・森林の保護と水力発電・観光との共存が課題の一つだった。南部のシンド州のインダス河の下流ではマングローブ植林、洪水対策などのプロジェクトを実施している。
Taj Mahal
A visit to the world most famous heritage of love. It is a massive beautifully curbed white marble tomb. It is built with perfect symmetry including the decorations on the walls except the tomb of Mughar Emperor Shah Jahan himself lying next to his wife, Mumtaz Mahal. She died at the age of 37 during the delivery of her 14th child. She died in 1631 and then after 22 years of construction, Taj Mahal was completed in 1653. Shah Jahan died in 1666 after 8 years of imprisoned life in Agra Fort by their son, Aurangzeb. Taj Mahal was built on tremendous sacrifice of people (220,000 laborers and 32 million rupees) and 1000 elephants of that time, but it is certainly giving sustained and growing returns to generations after generations of human civilization.
(A lesson learned: Family planning is important to safeguard the life and the love)













