大坂なおみ(Naomi)さんを応援しよう

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最近ヤンゴン日本人学校でパラリンピックについてゲスト講義をする機会があった。そのときに私が尊敬する人物について、ガンジーさんやネルソン・マンデラさんとともに、スポーツ界を変えるアスリートとして大坂なおみ(Naomi)さんについて話した(下の写真)。彼女はBlack Life matters運動を率先して行い、大会の組織委員会の妥協ばかりか、アメリカスポーツ界の政治的行為の排斥原則を変える歴史的な転換をもたらした。

今回、French OpenにおけるNaomiさんのインタビューの拒否は、単なる個人的な問題としてしか捉えられていなかったようだ。Naomiさんも、おそらく、彼女自身の個人の権利に関するものと考えていたと思う。ナダルさんや錦織さん、多数のテニス界のスター選手がコメントを求められ、

(1) Naomiさんの決断をリスペクト(尊重)する。

(2) インタビューは仕事である。

という二つのことを述べていた。その根幹には、

 今のテニス界の発展=商業価値はメディアに頼るところが大きい。

というアスリート側の現状認識があるようだ。

New York Timesによると、Naomiさんのインタビュー拒否に対して、全仏の運営者側は、

Naomiさんに、罰金1万5千ドルを課し、これ以上、拒否するなら、罰則として全仏からの不戦敗もありうる、と警告を行っている。

そして、この過剰なまでに強い警告の宣告文(ステートメント)には、フランステニス協会会長、米国テニス協会会長、オーストラリアテニス会頭、全イングランドクラブ会長(ウィンブルドンを運営)の署名があったそうだ。

つまり、テニス界の頂点を決める四大大会(グランドスラム)のトップ全員が、インタビューを拒否する選手は、四大大会から排斥すると、このあまりにも早い時点で警告を行ったのである。インタビューを拒否するNaomiさんの行動は、テニス界を根底から揺るがす許すまじき行為であり、テニス界で生きていきたくば、このような真似をしてはならないという、テニスプレーヤー全員に対する警告のつもりだったのだろう。

あまりにも明確なことは、テニス界を運営する人たちは、テニスをビジネスにしており、選手はメディアや観衆を楽しませるための商品と見なされているということである。ビジネスファーストであり、セカンドもサードもビジネス、ビジネスである。多くのプロ選手たちも、プロツアーで勝つことと、自分の商品価値を上げることを、ほぼ同義ととらえ、アスリートという名の個人事業主として、テニス界と向き合っているようだ。

Naomiさんは独特なスピード感をもって「全仏オープンからの自主的な棄権」という選択を発表した。鬱の症状に苦しんできた彼女の独白は、グランドスラムを四度も制するタフな精神力とスーパー身体能力を有する女性のイメージからは程遠い、痛々しいほどの苦しみと不安に満ちたものだった。

セレナ・ウィリアムズさんは、Naomiさんをハグしてあげたいと、記者会見で答えた。テニス界にも多様な人々がいて、それぞれにベストなやり方で、いろいろな局面に対応している。それでいいじゃないの。Naomiさんには、Naomiさんにベストな方法でガンバることを認めてあげるべきでしょう。Naomiさんのテニスの憧れの人、鬱のきっかけとなったUSオープンの決勝の対戦相手のセレナさんは、テニス界に黒人女性を認めさせたパイオニアでもある。セレナの言葉は、I have a dreamというキング牧師のスピーチのスピリットにも重なって響いた。

Mental health of an athlete matters

Naomiさんは、再び、プロスポーツの世界の常識に転換点を突きつけた。

Naomiさん、we all have heard the true voice of your heart. Please take your time, relax, refresh and recover. We all stand with you and hope to see your smile soonest.

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